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遺言と家族信託の違いとは|遺言書と家族信託は何が違う?我が家に本当に必要な相続対策の見極め方

「そろそろ、我が家も相続の備えを始めたほうがいいのだろうか」「子どもたちに苦労をかけたくないけれど、具体的に何をすればいいのか分からない」年齢を重ねるにつれ、あるいは大切な家族の将来を想うとき、こうした「終活や相続」への不安が頭をよぎることは自然なことです。

日本の相続手続きは非常に複雑で、ネットで調べても「遺言書」「家族信託」「成年後見」といった専門用語が並び、結局我が家にはどれが最適なのか、全体像が見えにくくなっています。

相続対策の本質は、単に財産を分けることではありません。残された家族が迷わず、揉めず、お互いの絆を守りながら次のステップへ進めるようにするための「最後の思いやり」です。本記事では、代表的な2つのアプローチである「遺言書」と「家族信託」の違いを、専門用語を使わずに分かりやすく比較解説します。我が家に本当に必要な対策を見極めるための参考にしてください。

1. 相続はなぜ事前対策が必要なのか?「争族」を避けるための基本

「我が家は財産が少ないから大丈夫」という油断が招くトラブル

家庭裁判所の統計によると、相続を巡るトラブルの約7割以上は、遺産総額が「5,000万円以下」の一般的な家庭で起きています。さらに、そのうちの多くは「1,000万円以下」のケースです。「分けるほどの財産がないから揉めない」というのは誤解であり、むしろ明確な基準がないからこそ、小さな感情の食い違いが大きな対立へと発展してしまいます。

財産の額に関係なく発生する、遺産分割での「意見の食い違い」

特にトラブルになりやすいのが「実家(不動産)」の扱い方です。例えば、実家しか財産がない場合、子どもたちの間で「一人が住み続けたい」「売却して均等に分けたい」と意見が分かれると、不動産は簡単に切り分けることができないため、話し合いが平行線をたどることになります。

事前対策の目的は「財産を分けること」ではなく「家族の絆を守ること」

生前に対策を立てておくことは、決して「自分の財産をどう分けるか」という義務的な作業ではありません。親の生前の意思が「書面」として明確に残されているだけで、子どもたちは「親がそう望んだのだから」と納得でき、お互いに無用な疑心暗鬼を生まずに円満に手続きを進めることができます。

2. 代表的な2つのアプローチ:遺言書と家族信託の違いとは?

家族を守るための手段として、主に選ばれるのが「遺言書」と「家族信託」です。これらは目的やカバーできる範囲が大きく異なります。

① 遺言書:自分の死後に「誰に・何を遺すか」を明確に指定する

遺言書は、「自分が亡くなった瞬間に、財産を誰に引き継がせるか」を指定する書類です。

メリット:作成が比較的シンプルで、費用も抑えやすい点です。特に「公正証書遺言」を作成しておけば、家庭裁判所での面倒な手続き(検認)を省いてスムーズに財産を移転できます。

デメリット:遺言の効力が発生するのは「本人が亡くなった後」です。そのため、生前に本人の判断能力が衰えた場合の「財産の管理」については、遺言書ではカバーすることができません。

② 家族信託(民事信託):元気なうちに「管理や処分」の権限を家族に託す

家族信託は、「自分が元気なうちに、信頼できる家族へ財産の管理権限を託しておく」契約です。

メリット:最大の強みは「認知症対策」になる点です。高齢になり判断能力が低下すると、本人の銀行口座は凍結され、実家を売却して介護施設の入居費用に充てることもできなくなってしまいます。あらかじめ家族信託を結んでおけば、親の判断能力が衰えた後も、託された子どもが親のために口座を管理し、実家を売却するなどの柔軟な手続きを代理で行うことができます。

デメリット:契約内容がオーダーメイドになるため設計が複雑であり、初期の作成費用や専門家への報酬が遺言書よりも高額になる傾向があります。

どちらを選ぶべき?状況別・最適な選択のための見極め方

遺言書が向いている家庭:親が最期まで健康で、自分の意思で財産をコントロールできる確信がある場合。死後の遺産分割のトラブル(特定の相続人に多く遺したい、等)を防ぎたい場合。

家族信託が向いている家庭:高齢期における認知症リスク(口座凍結や実家の売却不能)に今から備えたい場合。介護や医療費用のために、実家を適切なタイミングで子どもがスムーズに処分できるようにしておきたい場合。

3. 失敗しない相続対策を始めるための3ステップ

相続対策は、決して一朝一夕でできるものではありません。トラブルを防ぐためには、以下のステップを踏んで丁寧に準備を進めることが推奨されます。

ステップ1:所有している財産(預貯金、不動産、その他)の「棚卸し」

まずは「何を、どこに、どれだけ持っているか」を可視化することから始めます。預貯金の口座情報や不動産の権利証を整理し、簡易的な財産目録を作っておくだけでも、相続時の負担は大幅に軽減されます。

ステップ2:家族全員で「将来の希望」を話し合う家族会議の開催

財産の状況が分かったら、親子・親族間で「将来どうしたいか」を共有しましょう。「実家は残したいのか」「将来の介護費用はどうするのか」といった希望をあらかじめオープンに話し合っておくことが、誤解を防ぐ最大の盾となります。

ステップ3:法的な有効性と確実性を担保するための専門家への相談

どれほど素晴らしい対策を考えても、書類に法的な不備があれば無効になってしまう恐れがあります。確実な安心を手に入れるためには、最終的な書類作成や仕組みの設計を専門家へ相談することが重要です。

4. 複雑な相続をスムーズに進めるための「相談先」の選び方

相続の相談先には、行政書士、司法書士、税理士、弁護士など、様々な士業が存在します。それぞれに強みが異なるため、自分の目的に合わせて選ぶ必要があります。

  • 行政書士・司法書士:遺言書の作成、家族信託の設計、戸籍の収集から遺産分割協議書の作成など、相続の「予防」と「手続き」全般をトータルでサポートしてくれます。
  • 税理士:相続税の申告や、事前に行う節税対策のプロフェッショナルです。
  • 弁護士:すでに家族間でトラブル(争い)が発生してしまい、裁判などで意見を主張したい場合の専門家です。

単に手続き的な書類を作成してもらうだけでなく、「将来の生活設計」や「実家・不動産の現実的な管理・処分方法」までを一緒に見通し、優しくコーディネートしてくれる相談窓口を見つけることが、精神的な負担を減らす何よりのポイントです。

まとめ:家族の「MIRAI」に確かな安心を

相続について考え、生前に備えをすることは、決して寂しいことでも後ろ向きなことでもありません。むしろ、「自分が遺した財産によって、大切な家族が困ったり揉めたりしないように」と配慮する、これ以上ない前向きな愛のカタチです。

相続のあり方は、ご家族の数だけ正解が異なります。誰かに押し付けられた正解ではなく、自分たちにとって本当に心地よい「安心のカタチ」を、ぜひご家族みんなで見つけてみてください。一人で抱え込まずに、まずは身近な専門家や相談窓口を上手に活用して、最初の一歩を踏み出してみることをお勧めします。

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